ベトナム国港湾技術基準策定・普及支援プロジェクト 国際臨海開発研究センター (OCDI) | 港湾・臨海開発の専門機関

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ベトナム国港湾技術基準策定・普及支援プロジェクト

プロジェクトの概要

 

ベトナムはドイモイ政策による対外開放政策の結果、1990年代以降、GDPの平均成長率が約6%で推移し、近年も実質 GDP 成長率が67%と高い成長率を維持しています。経済成長及び国内市場の拡大に伴い、貨物需要は増加の一途を辿っており、今後も拡大する需要や船舶の大型化に対応できる港湾整備が不可欠です。

 

 一方、ベトナム国政府は、港湾整備を民間投資またはPPP方式で行い、公共投資を抑制する方針を示しており、港湾整備事業を同国政府の直接行うことはなくなります。そのため、港湾技術基準と関連ガイドラインの策定及び普及により、同国の港湾開発と維持管理を適切に行うことが必要となっています。

 

 これまでのベトナムの港湾技術基準は様々な先進国の基準や理論を基礎として作成されてきました。1980年代には旧ソビエト連邦の規格を参考に多くの基準が作成されましたが、急速な科学技術の発展をフォローするため、1990年代以降は我が国の港湾の施設の技術上の基準に加え、英国規格(BS)や国際航路協会(PIANC)の基準などが翻訳されてベトナムの港湾技術者に活用されてきました。

 

 そうした中、“Law on Standards and Technical Regulations”の施行(2007/1/1)以降、各分野における基準体系の再構築が進められていますが、港湾分野ではこれまで計画・設計・施工・維持管理の一貫性を持った基準となっていなかったことから、そのような基準の作成が求められていました。このため、ベトナム交通運輸省(以下、「MOT」)は、我が国の国土交通省(MLIT)と港湾技術基準の策定に関する協力覚書を取り交わし、この枠組みの下で我が国の「港湾の施設の技術上の基準」をベースとした設計・施工・維持管理に関するベトナムの港湾技術基準を、日越共同による体制で作成してきました。

 

 その成果として、2014年から2023年までの10年間に10編の技術基準(TCVN)が作成、施行されています。

 

 今回のプロジェクトは、このMOTMLITの実施してきた技術基準作成業務を引き継ぐ形で実施するもので、20238月~20277月までの4年間を2期に分けて実施するものである。現在は20257月までの第1期を実施しています。

 

 このプロジェクトの目標と成果は、図―1のとおりです。

 

図-1 目標と成果

 

 

このプロジェクトで改訂・策定する技術基準(TCVN)は、以下のとおりです

 Part 1 総則(2017年発行のTCVNの改訂)

 Part 2 設計条件と作用(2017年発行のTCVNの改訂)

 Part 7 航路と泊地(新規策定)

 Part 8 ドック、閘門、斜路、造船所(新規策定)

 Part 10 その他港湾構造物(新規策定)

 Part 11 コンクリート及び鉄筋コンクリート構造物(新規策定)

 なお、Part10のその他港湾構造物は、シングル・モアリング・ブイ、クルーズターミナル、マリーナを対象としています。

 

 また、技術基準を整備しただけでは、実際に設計を行うことは難しいとの意見が多く寄せられていることから、8編の設計事例を掲載した設計事例集を作成します。更に、増大していく港湾施設を適切に維持管理するために、より具体的な維持管理手法を説明した維持管理マニュアルの作成にも取り組んでいます。

 

 上記の技術基準(TCVN)の改訂と策定、設計事例集と維持管理マニュアルの作成は、Part毎、項目毎にワーキンググループを開催して進めています。また、各ワーキンググループでは、一定の成果が出た段階で、幅広い関係者に参加していただきワークショップも開催し、幅広く意見をいただいています。これらの成果は、全て英語とベトナム語で作成されます。

 

 現在実施している第1期では、技術基準(TCVN)の改訂、策定を中心に実施し、第2期では、これまで策定してきた技術基準全体の普及に取り組むこととしています。

  • リーダー 大内久夫

    リーダー 大内久夫

  • 担当者 小野正弘

    担当者 小野正弘